プチ不登校

 長女が小学校1年生の夏休み明け、「学校行きたくない。」と言い出した。

主人も私も本人が行く気になるまで見守ることにした。

 不登校が始まって1週間が経ち、教会の信者さんでもある学校の先生から呼び出しの電話があり、3人で先生のお宅へ伺った。先生から、「お母さん、不登校は1週間を過ぎると長引きますよ。」と言われた。そして娘に、「お母さんと一緒なら学校来れるか?」と優しく問いかけると、「うん。お母さんと一緒なら学校行ける。」と娘は答えた。

 次の日から、娘との通学が始まった。うつが治ったわけではなく、重たい身体を引きずるように通った。初日は、授業中教室の後ろに立っているのがしんどくて、先生から使っていない椅子を借りて娘を見守った。小学1年生の授業は懐かしく、国語の「スイミー」などは私も習ったなぁと遠い昔の記憶が蘇った。担任の先生から、「トイレに行く時は、娘さんに声をかけてから行ってくださいね。黙っていなくなると娘さんが不安になるので。」と言われ、実行した。給食の時間は、隣の準備室で持っていったおにぎりを食べてから、机に伏せて休んだ。午前中ずっと椅子に座っているのもうつの私にはきつかった。初めの頃娘は授業中度々後ろを向いて私がいるのを確認し、目と目が合うと可愛い三日月お目目でニッコリ。私もとびきりの笑顔で微笑み返す。すると安心してまた授業を受ける。娘が前を向いている時は、恐らく私はとても険しい顔をしていたのだろう。休み時間に先生が、「お母さん、大丈夫ですか。」と度々声をかけて下さった。

そのうち、後ろを振り向く回数がだんだん減り、先生が今日はもう帰っても大丈夫と判断した時は、手で私の方にOKサインを出してくださるようになり、娘に気づかれないようにそーっと帰れるようになり、少しずつ私がいなくても平気でいられる時間が増え、最終的には通常通り通学できるようになった。今では貴重な長女との思い出である。