ご縁

 主人との出逢いはお見合いである。21歳の時、主人との縁談話が来たが、その頃はまだ誰とも結婚するつもりなどなくお断りした。26歳の時、別の方からまた主人との縁談話が来たが、その時は他に好きな人がいたのでお断りした。30歳の時、私もやっぱり人生のパートナーがほしいなぁと思うようになっていた頃、別の方からまたもや主人との縁談話が来た。これには母も「2回も断ったのに、3回も同じ人の話が来るなんて、よっぽど縁があるんだから会うだけ会いなさい。」と私に言った。私も会うだけならと承諾した。

 お見合の日、お互いの第1印象は、⦅主人⦆「おっ、かわいい!」⦅私⦆「オヤジじゃん!写真と全然違うじゃん‼」初めて主人の写真を見た時から9年も経っているのだ。変わっていて当然だが、眼鏡はかけていなかったのにかけてるし、髪型も普通だったのにくるくるパーマになってるし、なんだかその時はだまされたように感じた。でも全くタイプじゃないし、この人とはよっぽどの縁なんてないないと思った。

 「じゃあ、あとは2人で。」との決まり文句の後、天理ダムまでドライブに行った。彼が全くタイプではなかったので、私は自分を飾る必要も相手に気に入られる必要もなく素の自分でいられた。当時の私の理想のタイプは、身長175㎝以上、お醬油顔、海外渡航歴のある人、信仰熱心な人だったが、どれにもかすっていなかった。ドライブ中やダム近くの公園で色んな話をして、「この人面白い人だな。もう少しどんな人か知りたいな。」と、全くタイプではなかったけれど彼に少しだけ興味を持った。

 それから毎晩彼が電話をかけてくるようになった。当時は携帯電話がちょうど出始めの頃で、2人ともまだ携帯は持っておらず、家電にかかってきた。電話で毎日話すうちに自分の生まれ育った環境や短所等全部打ち明けるようになった。すると彼は「俺が全部抱えて通るから大丈夫だよ。」と言ってくれ、その言葉で彼と一緒になろうと決意した。

 2000年6月にお見合をして、その年の12月に結婚。ご縁のある人と出逢うと、本当にバタバタッと一気に決まるものだなと思った。彼も私も兄弟姉妹の中で結婚が一番最後だったので、式も披露宴も賑やかだった。人生で一番幸せな日とはよく言ったもので、その後苦難の日々が待がち受けていようとは露も知らずに最高の笑顔で写る2人の写真がとても眩しい。