次女

 次女は、生まれた時から全く手のかからない子だった。ベビーベッドに1人寝かせて神殿に朝の祈りに行って帰ってくると、いつも1人で目覚めておとなしくしていた。夜も気が付くといつの間にか寝ていて、長女も次女も夜泣きをしたことがなかった。私が病んでいるから神様やご先祖様が子どものおもりをしてくれていたのだと思う。

 幼少期は、姉の行動や私の顔色をよく見て私に怒られないようにしていた。私も次女を怒った記憶があまりない。そんな子だから4歳の時、「ねえねは、嬉し泣きだよ。」と姉の気持ちがわかったのだと思う。なんでもおねえちゃんの真似をしたがり、ご飯を1人で食べられるようになったのも、歯を磨けるようになったのも、おむつが取れたのもお着替えができるようになったのも、3人姉弟の中で一番早かった。そのせいか、今が一番手がかかる。ずっと甘えさせてあげられなかった分、手を出すのではなく心をかけるようにしている。自分の気持ちをうまく言葉にできないところがあり、打たれ弱い。心を病んだ母を持ち、人を思いやる人間に育ってくれた反面、ひとの顔色を常に気にして本当の自分を出すと嫌われるのではないかと周りに心を開くのにとても時間がかかり、本音がなかなか言えず、相手に振り回されることの繰り返し。幼少期に母親の愛情を十分受けられなかったことが原因と考えられるので、次女がありのままの自分を愛せるようになるまで、愛情をかけ続けるつもりだ。